飲食店お役立ちコラム集 店舗経営・マネジメント(1)|株式会社フードビジネスイノベーション

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原価計算

1.原価を分析しよう

ここでは飲食店経営においては常識とも言える内容も多く書きますので、すでにご存知の方は飛ばしていただいて結構です。
ここで一番伝えたいのは、原価を分析し、「売れて儲かるメニュー」を組み立てる材料にすることです。
「売上が上がったのに赤字だ・・」
という店舗は、原価に問題がある場合が多いです。
原価は売上に対して大きな割合を占めるプライムコストであり、売上に対してほぼ比例して上昇する変動費です。
もしあなたのお店が原価を分析していないのであれば、この機会にぜひやってみてください。というか、実はこのような機会がないとやらないお店の方が多いんですよ。
さて、そもそも原価が計算できていなければ分析はできません。
原価計算はメニュー基準表(CDROM)を使うと便利です。

(1) メニュー基準表(CDROM)を使う原価計算

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原価計算のポイントのひとつとして「歩留り」があります。


(2) 歩留り

歩留まりとは、仕入れた食材の中で実際に商品化できる部分のことを指します。
例えば牛肉をブロックで1kgを仕入れた場合。下処理の段階で、商品化できない部分である筋と脂200gを取り除いたとします。そうすると、実際に商品化できる部分は800gとなります。これが歩留りです。
そして、下処理する前の食材に対して歩留りの占める割合のことを「歩留り率」と呼びます。
上記の例で言えば800(g)÷1000(g)×100=80(%)です。

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原価計算をする際、この歩留りはどのように影響するのでしょうか。
例えば上記の肉の仕入れ値を3000円/kg、この肉を使ったステーキ300gを1500円で売るとします。
歩留りを無視してステーキの原価を計算すると

原価=3000円÷1000g×300g=900円
粗利益=1500円-900円=600円
原価率=900円÷1500円×100=60%

となります。


歩留りを考慮してステーキの原価を計算すると

原価=3000円÷(1000g―200g)×300g=1125円
粗利=1500円-1125円=375円
原価率=1125円÷1500円×100=75%

となります。

粗利益にして225円、原価率で15%の開きが出てしまうのです。
このように、歩留りを無視して原価を計算した場合には、原価は実際より低く計算されます。

ということは、歩留りを無視した原価をベースに価格設定をすると、実際の粗利益は計算上よりも減ってしまうのです。

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また、例えば下処理済みの牛肉が3500円/kg、未処理の牛肉が3000円/kgだった場合、どちらが安いのでしょうか?上記と同じく歩留り率80%で計算してみましょう。

下処理済みの牛肉の歩留り率は100%になるので、ステーキの原価は
3500(円)÷1000(g)×300(g)=1050(円)となります。

未処理の牛肉を使ったステーキの原価は
3000円÷(1000g―-200g)×300g=1125円

となりますので、下処理済みのお肉の方が原価は低いと言うことがわかります。
また、下処理をする時間も削減できるというメリットも生まれます。

このように、仕入れ価格を見るときは、実際に商品化した時の歩留りを計算に入れないと思わぬところで損をしてしまう可能性があるので気をつけたいところですね。

実際には予め下処理などをした加工済み食材の方が高いことが多いので、下処理の労賃と比較して考えてみるとよいでしょう。



(3) 理論原価と実原価

Ⅰ.理論原価を算出してみましょう。
理論原価とは仕入れた原材料がロス(無駄)なく商品化された場合の原価ですので、メニュー基準表の原価に販売数を掛けたものです。
それと、棚卸を行って計算した実原価とを見比べて原価の問題点を分析します。
わかり易いように2種類の商品しか置いていないカフェを例に上げて説明しましょう。

【○×カフェのメニュー】
Aランチ:原価150円 売価500円 原価率30%
Bランチ:原価200円 売価500円 原価率40%

AランチとBランチがそれぞれ100個売れたら、このお店の売上は
(500円×100)+(500円×100)=100000円です。 

売上=(売価×販売数)の総和

この場合理論原価は
(150円×100)+(200円×100)=35000円です。

理論原価=(原価×販売数)の総和

したがって、理論原価率は
35000÷100000=35%となります。

理論原価率=理論原価÷売上



Ⅱ.実原価を計算して見ましょう
先月の棚卸データによると、期首在庫はAランチの材料が10個、Bランチの材料が20個でした。

期首在庫高は(150円×10)+(200円×20)=5500円

当期仕入れはAランチの材料が100個、Bランチの材料が100個でした。
当期仕入高は(150円×100)+(200円×100)=35000円

期末在庫はAランチの材料が8個、Bランチの材料が16個でした。
期末在庫高は(150円×8)+(200円×16)=4400円

したがって、当期実原価高は
5500円+35000円-4400円=36100円

実原価高=期首在庫高+当期仕入高-期末在庫高

当期実原価率は
36100円÷100000円=36.1%です。

実原価率=実原価高÷売上


Ⅲ.理論原価と実原価の誤差の原因

a. ロス
このカフェの実原価率と理論原価率を比べてみると、実現化率の方が1.1%高いです。金額にすると1100円です。

これは原材料がなんらかの理由でムダになることによって生じる損失(ロス)です。

Aランチ
期首在庫(10個)+仕入れ(100個)―売上げ(100個)=計算上の期末在庫(10個)
計算上の期末在庫(10個)―実期末在庫(8個)=行方不明(2個)

Bランチ
期首在庫(20個)+仕入れ(100個)―売上げ(100個)=計算上の期末在庫(20個)
計算上の期末在庫(20個)―実期末在庫(16個)=行方不明(4個)

行方不明の原価
Aランチ 150円×2個 + Bランチ 200円×4個 = 1100円

1100円分の食材がどこかに消えてしまったということになります。
では、どこへ消えてしまったのでしょうか?

「Aランチお待たせしました。・・え?Bランチを注文した?大変失礼しました(汗)」
「Bランチあがりました!」「○○君、伝票はAランチだよ!」
「○○さんがAランチを落としちゃいました~!」
「ちょっと!Bランチの材料の消費期限が昨日までだから今日は使えないよ!」 etc

皆さんも一度は同じような経験あるのではないでしょうか?
この他にも、レシピより多く盛り付けてしまったり、誰かがこっそり食材を持って帰ってしまったりと、ロスの原因はたくさんあります。

主なロスを一覧にまとめましたので、お店のロスの原因を探ってみてください。

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メニューを基準書通り100%無駄なく作ることは困難ですので、通常、
実原価率は理論原価率を上回ります。

通常この差は2%以内が望ましいとされておりますので、2%より大きな差があるときはロスの原因を探って撲滅する必要がります。

通常発生するロス率を織り込んだ原価率を「設定原価率」と言います。
メニューにロスが出やすいものがあるかどうかもチェックが必要です。

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b. 理論原価率自体が高過ぎる場合
理論原価率自体が同業他社より高過ぎる場合は、価格設定や原材料費を見直す必要があります。

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また全体で見ると、平均設定原価率より理論原価率の高い商品が多く出ている可能性もあります。

全て同一の原価率でメニューを組んでいない限り、商品それぞれの原価率は一律ではありません。平均設定原価率が35%のお店でも、原価率30%の商品や40%の商品があったりするわけです。

先ほどの○×カフェの例でも、Aランチは原価率30%であるのに対し、Bランチの原価率は40%です。
Aランチが100個、Bランチが50個出た場合と、Aランチが50個、Bランチが100個出た場合では平均理論原価率に差が出ます。

もしこのお店の平均設定原価率が35%だったとすると、売上は同じでも原価率の低いAランチが売れれば売れるほど粗利益率が上がり、原価率の高いBランチが売れれば売れるほど粗利益率が下がるということになります。言うまでもありませんが、原価率が100%未満であれば売上が増加するほど粗利益も増加します。

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平均理論原価率を引き下げるには原価率の低い(粗利の高い)商品をおすすめしたり、原価率の低い(粗利の高い)新メニューを差し込みで投入したりする方法があります。

*経営の目的は、利益の極大化であり、経営の安定化・質の向上は損益分岐点の引き下げです。あまり枝葉末節な比率に拘ると、森を見失いかねません。原価率の引き下げは得てして経営の根幹を誤る戦略です。商品の質の低下で、顧客を失うことが多々あります。